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2011.10.15

「屋久島が教えてくれたもの〜前編」

一年のうち366日雨が降るといわれる島がある。
その島は亜熱帯に位置しながら標高1900m級の山々が存在している。

洋上のアルプス、「屋久島」。

九州の南約60kmに位置するこの島に、九州1〜8位の高峰がある。
そのため、亜熱帯から亜寒帯の植物が垂直分布している不思議な島だ。

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1993年に世界遺産に登録された主な理由は、樹齢数千年の屋久杉ではなく
この植物の多様性であった。

最高地点は1936m(宮之浦岳)。島の周囲はわずか約130km。
黒潮で生まれた水蒸気が、高い峰々にぶつかって雨となり降りそそぐ。
年間降雨量は、平地で4000mm、山岳部では10000mmに達する。
この小さな島に、北海道のおよそ10倍の雨が降る計算だ。


この島へ人々を向かわせるものとはなんだろうか。
島が讃える大自然だけではないように思える。

かつて熊野へ赴いた時
と同様に、
何かに呼ばれているかのような心持ちで私は屋久島へと向かった。


早朝、5時の高速バスに乗り羽田空港へ向う。
鹿児島空港までは約2時間のフライト。
そして、プロペラ機「ボンバルディアQ400」で約35分。

遠いようで、意外と近い!?屋久島。

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ちなみに、鹿児島からのルート選択は他にもある。

高速船のトッピー・ロケットで約2時間半。
フェリーでは約4時間。
時間が惜しい私は、割高ではあるが飛行機を選択した。


プロペラ機は轟音とともに高度を上げ、
SUNNTOの高度計では950m前後で安定飛行していた。
離陸前に標高を合わせたが、実際の高度はどれくらいであったろうか。


眼下には本州最南端の大隅半島につづき、
噴煙をあげ続ける桜島が見えていた。

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この日の天気は快晴。
気温25度と、雨の島での幸運に恵まれた。

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屋久島空港は、私の期待通り少し大きなバス停といった趣であった。


腹が減っては、なんとやら。
早速、空港からほど近い「屋久どん」で昼食をとった。

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屋久島名物の「飛魚の姿揚げと屋久島風うどんのセット」は1300円也。


初日の午後は、レンタカーで島内ドライブとした。

「盛久権現社」
壇ノ浦の戦いで義経に破れた、平盛久が流れてきており、この地に祀られていた。

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「シドッチ神父上陸記念碑」
キリスト教を流布しようと屋久島へ漂着したシドッチ神父の記念碑。

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海岸近くにあって、そこから海へと階段で下る事が出来た。


「千尋(せんぴろ)の滝」
花崗岩の岩肌を流れ落ちる滝は雄大な眺め。

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島内を巡ると、
このうえなく美しい自然が、あたりまえのように存在している。

その景色に出会うほどに、心が浄化されていく。

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都会の物質社会のなかで、
気づかないまま閉ざされてしまっていた感性のシャッターが
音を立ててひとつづつ開いていくかのよう。

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ここでは、
人間も自然の一部であって、自然のなかにいることが、
すなわち「自然」なのだと教え諭してくれるかのようだ。


かつて中学校の教科書に載っていた(現在も載っている)、
ひとつの詩が思い出された。


  「山林に自由存す」

  われ此句(このく)を吟じて血のわくを覚ゆ
  嗚呼(あヽ)山林に自由存す
  いかなればわれ山林をみすてし

  あくがれて虚栄の途(みち)にのぼりしより
  十年(ととせ)の月日塵のうちに過ぎぬ
  ふりさけ見れば自由の里は
  すでに雲山(うんざん)千里の外にある心地す

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  眥(まなじり)を決して天外をのぞめば
  をちかたの高峰(たかね)の雪の朝日影
  嗚呼山林に自由存す
  われ此句を吟じて血のわくを覚ゆ

  なつかしきわが故郷は何処(いずこ)ぞや
  彼処(かしこ)にわれは山林の児(こ)なりき
  顧みれば千里江山(せんりこうざん)
  自由の郷(さと)は雲底(うんてい)に没せんとす

  (国木田独歩)


ここでは、
考えることを不要とし、感じることを強く求めらる。
そして自分のなかの真理にすこしだけ近づく。

縄文杉と出会うための準備ができた。

                                (つづく)

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